頭痛 その1:急性の頭痛
最近、医師でない友人から、頭痛についての電話をもらうことがちょくちょくあるようになりました。脳血管障害が気になるお年頃になってきたというところなのでしょう。何でも、脳卒中の家系だから心配だといいます。
頭痛には、急性の頭痛と慢性に繰り返す頭痛とがあります。命に関わるということであれば、それは、まず、急性頭痛で、その代表が、「クモ膜下出血」でしょう。多くの方が、頭痛を主訴で受診される場合、急に頭が痛くなってきたと言って来ます。でも、脳卒中に伴う頭痛のキーワードは、「突然」と「今までに経験したことがないような」という表現です。この場合の突然とは、「食事をしていると・・・」ではなく、「漬物をかんだ瞬間、突然・・・」という意味です。すなわち時間単位でなく、秒単位だということです。もちろん、長いこと頭医者をやっていると、変わり種も、多く、お目にかかりましたが、基本的に、この二つのキーワードの拘束力は強いといってよいでしょう。
え、自分はまだ、30代だから大丈夫だろうって?
いいえ、30歳のクモ膜下出血など珍しくありません、子供にだっておこります。また、椎骨(脳底)動脈の解離性動脈瘤などは、実年より30歳ぐらいの若手の方が多いですよ。何年か前、若手の歌手がなっていました。おまけに、高血圧ともあんまり関係がないのですよ。知り合いの若手の内科の医師もなってしまったぐらいですからね。
また、二つのうちどっちが大事かっていうと、やはり、「突然」というところでしょう。というのは、大きな出血の前兆として、minor leakと呼ばれるごく小さな出血が1〜2週間前に起こることはそう珍しくはありませんからね。この頭痛は比較的軽い。
え、CTを撮ったから大丈夫だろうって?
残念ながら、minor leakはCTで、診断できない例も多いのです。変わり種としては、「マッサージの後、肩コリがひどくなって頭が痛い」って来られた人もありましたね。
それじゃあ、全くわかんないじゃないですかって? まあ、そういうことですね。とりあえず、何かいつもの頭痛と違う・・・と気になったら、一度は、頭医者を受診しとくのがいいのかもしれないね。 つい最近の、2008年7月には、頭痛を主訴に一般病院を受診した患者さんの5~8%程で、クモ膜下出血を見逃されており、風邪、高血圧、片頭痛と診断されていたという脳神経外科学会の報告は、波紋を呼びました。この、データが意味するところは、一般医師の診断能力の低さではなく、一般医師が、軽症のクモ膜下出血を診断するのがいかに困難かを示しているものといえるでしょう。
2008年9月
痛みに「痛み止め」は必要か?
痛み、といってもひとつではありません。
いろいろあります。
さて、
皆様の中には、「痛み止めですか?それならいりません。」といわれる方が、結構、
いらっしゃいます。
この方が、「痛み止め」をどう解釈されているのかはわかりませんが、
「消炎鎮痛剤」のことだとすると、「痛みに痛み止めが必要か?」
に対する答えは、病態によって、「イエス」でもあり、また「ノー」でもあります。
@「イエス」の場合
炎症が強い場合(外傷やリウマチ等の炎症性疾患、変形性関節炎、感染・・・等)には、
「消炎鎮痛剤」を服用したほうが有利だと思います。
炎症とは、「赤く腫れ」て「熱感」があり、「痛い」状態です。
これは、生体内の化学反応なので、消炎鎮痛剤は、痛みを止めるというよりも
炎症を抑えるということが主たる目的になり、原因の治療にもなります。
炎症は炎症を呼ぶ悪循環になるので、これを絶ったほうが有利です。
A「ノー」の場合
@以外の痛みには、原則として「消炎鎮痛剤」は、ほとんどといってよいほど必要ない・・・
というより有効ではありません。
偏頭痛、いろいろな神経痛、脊髄性の疼痛(ずきずきする痛み)、など
大方の慢性の頑固な疼痛には、それぞれ、「消炎鎮痛剤」とは別の薬があります。
要するに、急性期で炎症の強い場合は、消炎鎮痛剤(いわゆる痛み止め)を服用したほうがよい、
炎症があまりなければ、消炎鎮痛剤は無効で、別の薬を用いる、ということです。
実際、急性期以外、私は、いわゆる「痛み止め」は余り、用いていません。
消炎鎮痛剤は、胃を荒らしたり、ご高齢の方では、腎臓が悪くなったりすることもまれでは
ありませんので、急性期を過ぎれば、特殊な使用法以外は、頓用程度でもいいでしょう。
※頓用:症状が出たとき、あるいはひどいときに一時的に用いることです。
痛みの中身を診ながら、それぞれに応じたお薬を処方するなどしています。
皆様のお身体も、それぞれに違います。
痛みの内容、悩みも違っています。だから対応もそれぞれなのです。
2007年9月


